入院日記 11/19-11/23

 

「急性前立腺炎」で入院生活を経験した。入院といえば学生時代に骨折(右脚の脛骨腓骨骨折)で3週間くらい入院したことがあったが、内科系の疾患で入院するのは人生初。しかも人生初の救急搬送つき。3年前にも同じような疾患を経験をしているが、前回は入院までには至らなかった。

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 今回、入院まで至ってしまったのは、何か判断ミスがあったのか、歳をとって抵抗力が下がったのか。家族をはじめお騒がせした反省も込めて、記録に残しておく。

  なお、泌尿器科系の疾患は、性感染症(STD)の場合もあるので、そういう誤解を恐れてデリケートな話題として扱う場合が多いが、今回はシンプルにも大腸菌感染だったのでオープンに書いた。

むしろ、そういう誤解をされたほうが光栄かもしれない(笑)

 

■急性前立腺炎に関する情報

急性前立腺炎 - Wikipedia

前立腺炎 - 03. 泌尿器疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jaidjsc-kansenshochiryo_nyouro.pdf

悪寒・戦慄を伴う発熱を繰り返した症例 (類似症例)

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 ■前兆?

 11/14(木)は幕張の展示会視察、11/15(金)は同僚と飲んだ。体調的には特に問題のない週だった。ただ思い返せば、週の前半は下痢気味だったり、外出は移動が多かったのでおしっこを我慢しがちだったり、週の後半ごろから1日に1回くらい脇腹にチクっと鋭い痛みがあることがあった。前兆があったのかもしれない。

11/16(土)
 朝7時から同僚Tさんとカワハギ釣り。14時近くまで粘ったが釣果がイマイチだったので、すっかりテンションが下がってしまい、夕方から少し寝てしまう。

■発症

11/17(日)
 朝6時起床。なんとなく体調が悪い雰囲気がある。体温は37.0度。午後から横になるが、夕方から高熱キター。39.4度。インフルエンザの可能性があるので家族は別部屋で就寝。市販薬は飲まず、水分のみ補充。悪寒と熱が少し和らいだかも、と感じた午前0時頃から、尿が赤っぽくなってきて血尿キター。以後、頻尿となり、深夜頻繁にトイレに。泌尿器系の感染症を疑う。

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11/18(月)
 朝37.5度。朝の尿の色が正常に見えたことと、熱が下がったこともあり、9時30分、近所のW内科へ。インフル検査と尿検査。インフルは陰性。この時点の尿は再び血尿になってしまい、いずれにしても泌尿器科で精密に診てもらう必要あるとの判断。鎌倉市内の総合病院(O病院)に紹介状持参し14時からの泌尿器科外来に行けとの指示。体温は37.5度前後だったこともあり、自宅で昼食をとってから自分で車を運転して病院へ。

 ところが病院についたあたりから熱が上がってきた。受付での検温では38.5度。血液検査、尿検査と進むが、待合室で待つのが辛い。1時間近く待っただろうか、看護師さんが「こっちで横になってください」と空いている診察室に案内してくれて、診察台に寝かしてくれた。有難い配慮だ。しばらくすると泌尿器科の医師が登場。こちらが診察台で辛そうにしているからか、細かい病状等の説明はほとんどないまま、検査の結果はボロボロだねぇ、高齢だったら即入院だが、まだ若いからねぇ、どうする?と言われた。血液検査結果は、CRP が7.44mg/dl、白血球数が11800/μL 、尿検査も潜血、白血球、細菌いずれも陽性だった。

結果、治療方針としては

・今日はまずこの場で抗生剤を点滴して帰宅。抗生剤を服用。発熱時は解熱剤を服用。
・明日外来で点滴、抗生剤服用。
・明後日外来で再検査と点滴、抗生剤服用

という、通院治療プランで落ち着いた。

 

処方された薬は以下。

・レボフロキサシン錠500mg 医療用医薬品 : レボフロキサシン  キノロン抗生物質 (代表的な製品名:クラビット)

アセトアミノフェン錠200mg 医療用医薬品 : アセトアミノフェン  解熱鎮痛剤 (代表的な製品名:カロナール) 

・タムスロシン塩酸塩0.2mg(排尿障害抑制)

 薬を薬局で受け取り、その場でクラビット1錠とカロナール1錠(処方は2錠だった)を服用。車の運転は避けるべきだったのかもしれないが、18時前に何とか自宅にたどり着いた。北風が強く寒い。妻からは「入院してくればよかったんじゃない?」と言われたが、それがその通りだったことはこの後に痛いほど感じることになる。

すぐ寝たものの夜も更けるにしたがって体温は38度後半から39.5度くらいまで上がり、悪寒につづきガタガタと震えるような戦慄状態となった。(「戦慄」は恐れ震える状態を意味するが、医学用語である)そんな中、なんとか熱が下がらないかと解熱剤を服用した、がここで服用していのは解熱剤ではなく抗生物質の方だったことが後で発覚。結局、処方された解熱剤の量が正しく服用されていないこと、抗生物質を短時間に過剰摂取したことも症状を悪化された要因かもしれない。

22時過ぎ。戦慄は続き、病院に行くべきだがどうしたらよいかということが頭の中でループし、意識が混乱しているような状態になった。

23時前、さすがに妻もヤバいと思ったのか、救急車呼ぶ?という提案。さすがにお願いします、と言わざるを得なかった。23時、救急隊(逗子小坪救急1)が到着。タンカに載せられ、救急車に収容された後、バイタルチェック。意識レベルの確認のために日付を問われたときは、日付がかわったのかどうかわからないくらいの時間帯だったので、答えに躊躇していたら、心配させてしまったようだ。昼間の診察の経緯を伝えた結果、搬送先は昼間診察を受けたO病院となった。まるで出戻りのようだ。ぼんやりした意識の中で血圧のモニターを見ると85/45という数値が見えた。血圧下がっているなあ、やばいなあ、夕方あのまま入院しとけばよかったなあ・・。搬送先が決まると、救急車はサイレンを鳴らして走り出した。車内は意外と静かだが路面の振動がダイレクトに伝わる感じ。気道確保のためか、頭が下がっているような感覚。どこを走ったのかわからないが、普通に考えれば鶴ケ岡八幡宮前→北鎌倉のルートだろう。23時30分頃、O病院の救急処置室。インフル検査、血中酸素濃度測定、血液検査、レントゲン、点滴、ひととおりの処置をされた後、午前0時になったタイミングで病棟に移送された。

■入院

11/19(火)

 病棟は4人部屋。パーテーションで簡易に区切られた部屋で差額2500円。抗生剤の点滴が始まり、体も気持ちも少し落ち着いてきた。早速、同室の方のイビキの洗礼を受けるが、そんなこと気にする余裕もない。付き添ってくれた妻も後は病院に任せて帰宅。 ただ感謝あるのみだ。

朝7時の検温では37度。 1日に3回、抗生剤(医療用医薬品 : セフトリアキソンナトリウム)の点滴をおこなうスケジュールになっている。8時朝食。はじめての病院食は口に合うものが少なく先が思いやられる。9時、主治医の回診。昨日診察してもらった医師。「結局入院しちゃいましたか・・1週間くらい入院かなあ(苦笑)」と言われる。

12時昼食。バナナのデザートつき。普段あまり食べないバナナだが、熱があるからなのか冷たいものがありがたかった。点滴をしたままトイレに行くのも初体験。最初怖かったがすぐに慣れた。15時、妻が見舞いに来てくれた。点滴をしているのでシャワーはだめで、洗面所で洗髪。17時に38.9度。解熱剤を服用。22時は38.1度で今日3回目の抗生剤点滴。同室のイビキは相変わらず盛大。妻に持ってきてもらったノイズキャンセリングイヤホンでも太刀打ちできない。

11/20(水)

朝7時 38.1度。血液と尿検査。昼に37度まで下がったが、入院前から出ていなかった便が出たからかも。

午後の医師の回診で、血液検査結果は良かったが、熱がまだ高いよね、熱が下がらないと退院できないね、週明けまでかかるかもね、との話。15時、家族がお見舞いに来てくれた。とても嬉しい。

 今晩も熱が上がる。同室の夜中のイビキは相変わらず盛大で、明日大腸の手術を控えた患者さんが、夜勤の看護師に「イビキなんとかしてくれって言ってくれないもんかのう」と、まるで「まんが日本昔ばなし」の爺さまのような穏やかな声で相談されている。看護師は「それは言えないんですよねえ、体勢変えてもらいますので、それで変化をみましょう」と対応。致し方ないのであろう。イビキの主に体勢変えてもらったら、しばらく収まったものの、早朝にイビキに加えて「ハーッション」とオヤジクシャミが聞こえた直後「うるさい!」と怒号が飛んだ。相当、我慢されていたのだと思う。それぞれいろいろな事情で入院していて一方的に責めることはできないが、殺伐とした気分になってきた。

 

11/21(木)

朝38.1度、昼36.5度 夜37.0度

 今日も昼頃になると頭痛があった。目の裏が痛く、症状からすると「群発頭痛」というものに似ていて不安になる。

群発頭痛とは?目の奥が激しく痛む症状と原因まとめ | NHK健康チャンネル

  トイレに行きがてら病棟を歩くといくつか個室が開いている。15時、妻が来てくれたタイミングで、個室への移動を相談してみるとあっさり許可が出た。イビキ部屋との差額は5500円だが、あと数日だろうし、まあ妥当だろう。早速移動した個室は快適。「最初から個室にしておけば良かったのに」妻の意見はごもっともだった。

 夕方主治医の回診では、まだ38度くらいの熱が出るのが気になるので、金曜に38度くらいの高熱が出なければ、土曜退院。まだ熱が出るようなら、月曜退院で考えましょう、という話になった。

 

11/22(金)

 朝37度。昼頃頭痛。同じ姿勢をとったことによる肩こりの可能性が高いらしい。主治医からは、尿培養の結果、起因菌は大腸菌だったというということと、熱が下がったので、明日退院して良いとのこと。ヤッター。それを祝ってか、昼食は具だくさんのカレーだった。夜36.5度。

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■退院

11/23(土)

 朝37度 10時過ぎに家族が車で迎えに来てくれて、無事退院。精算など手続きは来週の通院時となったので、身支度して帰るのみ。退院にあたり処方された薬は、以下3点。1週間投薬を続け、11/30(土)に再検査となった。

・セファム系抗生剤 医療用医薬品 : バクタ (商品詳細情報) 

・タムスロシン塩酸塩0.2mg(排尿障害抑制)

アセトアミノフェン錠200mg 医療用医薬品 : アセトアミノフェン 解熱鎮痛剤

 病院を出て、買い物に立ち寄り、自宅に戻る途中、例の頭痛が始まった。帰宅後すぐに休む。夜の体温は36.5度から37度だった。

  入院中は、退院したら、「幸せの黄色いハンカチ」の高倉健のごとく、シャバに出て久々のビールとラーメンをありがたく頂くことを考えていたが、頭痛でそういう気にはなれなかった。

 

11/24(日)

朝36.9度 ほぼ平熱。自宅で安静。頭痛は無かった。

11/25(月)

大事を取って有給休暇。(もともと有給取得予定日だった)

11/26(火)から出社。いろいろな人からお見舞いの言葉を頂き、ありがたかった。似たような経験をした方も複数おられ、中には「疲れると抵抗力下がるのはジジイになった証拠だよ」という、ジジイからの的を得た意見も。

11/27(水) 11/28(木) 11/29(金)静養週間と決め込んで、おおむね19時にはおとなしく帰宅し、自宅で夕食。日によってふらふらしたりおなかがムカムカしたり。薬の副作用かもしれない。

11/30(土)

朝9時から血液検査と尿検査。結果、血液検査のCRPは0.08mg/dL、白血球は5000/μLとなり正常、尿検査も異常値はいずれも陰性になった。薬の処方はなく、治療終了となった。病院の帰り、鎌倉から江ノ電に乗って長谷に散髪に行った。久々に見た海が眩しい。f:id:t1000zawa:20191203084356j:image

 

 ■まとめと反省

・ 今回の高熱は、季節柄最初にインフルを疑ってしまったが、尿路感染症の前例を考えると、血尿が出た時点で、内科ではなく泌尿器科に直行すべきだった。医師によれば、インフルでも血尿は出ることはありうるため、どの科であってもまずはインフルかどうかを鑑別するから、インフルの可能性も否定はできないが、結果的に内科に行ったのは遠回りだった。

・高熱が出た翌日の早い段階で、泌尿器科を受診して尿路感染であることを特定し、午前中までに適切な抗生剤を服用していれば、ここまで悪化しなかったかもしれない。

・高熱の発熱時、悪寒戦慄をおさえるための解熱剤が半量しか服用していなかっただけでなく、抗生剤を過剰服用してしまった。症状が悪化した原因だったのかもしれない。ああいう症状がさらに悪化すると、菌血症から敗血症となって命の危険さえ出てくることもわかった。

・病院にいる時点で、動くのが辛いほどひどい状態なら躊躇せず入院すべきだった。といっても入院した週は、予定がてんこ盛りだったので、キャンセルの連絡やお詫びなど、インパクトが大きいのが躊躇の原因でもあるが、健康第一で考える良い転機になったと思う。

・今回の感染は、起因菌が大腸菌ということなので、尿道からの感染だとすると、洗浄便座(ウォッシュレット)での洗浄水による便の飛沫にも留意が必要だろう。

(参考)

https://medley.life/diseases/551298be6ef4582c3f85cd9a/details/knowledge/notice/

・関係ないかもしれないが、体が休まったのか、それとも2週間禁酒しているからなのか、目の飛蚊症が軽減した気がする。 

 

・お世話になった病院、救急の関係の方々に深く感謝。また、改めて家族の協力に大感謝です。

 

(12/1記)