昼休み。空を見上げると気持ちの良い青空で一瞬心が晴れるが、そこは江東区新砂。砂ぼこりが舞い、コンクリートの照り返しが厳しくモチベーションが低下するばかり。そんな気分を振り払うため、かねてからの目標にチャレンジした。その目標とは、ある巨大煙突を見に行くこと。
その巨大煙突は、新砂地域からは東方に遠望できる、航空法によって朱色と白色に塗り分けられた煙突で、その色彩の派手さもあってかあれは何の煙突か?と訊かれることも度々。新砂地域のランドマークとなっている。(?)
事前調査では、東京都下水道の「砂町水再生センター」という、下水道処理施設の敷地内にあるが、用途などは判然としない。
行けば何かがわかるだろう。出発。九重橋から見えるその勇姿に期待が高まる。
永代通りの南砂町駅前交差点手前のすき家の横から煙突を目標に南を目指す。新砂水再生センターの門があるが中に入れない。
このセンター、恐ろしく広大で、その敷地の中を公道が走っている。コンクリートミキサーやダンプがひっきりなしに走る。
歩いても歩いてもなかなか近づかない気がするが、目標達成には一歩一歩の積み重ねが大切。
やがて焼却設備らしきものが現れた。そうか、下水処理場の汚泥を焼却する施設の煙突なのだろうか。
九重橋から歩くこと20分。目標に到着!
青空をバックに、地表から屹立する煙突が美しい。なぜか岡本太郎の太陽の塔が頭に浮かんだが、その色と質感のせいか?
煙突には焼却設備らしいところからダクトがつながっているが、具体的な用途や由来は判然としない。東京都下水道局内のホームページには見当たらず、取材が必要。
煙突は砂町水再生センターの敷地の端にあるため、公道から根元を容易に見ることができる。周辺にはコンクリート工場、汚泥焼却工場、小規模な物流センターがある。昼下がり。ツナギ姿で日陰で昼寝する職人さん、YAZAWAのシルエットのステッカーの貼られた足立ナンバーの黒のVOXY。そんな光景に、工場の自販機で缶コーヒーBOSSを買って働く男をキメ込む自分がいた。
煙突のさらに先は、江東区立新砂運動場。案内図によれば下水処理施設上に作られたものらしい。
さて、そろそろ戻らねば。煙突から少し戻ると東京湾マリーナの入口がある。ここは警備員もいて関係者以外立ち入り禁止。
マリーナのゲートに隣接して、何も書かれていないフェンスの扉が開いている。砂町水再生センターの敷地への入口のようだが、ここから南砂町方面に抜けられれば大幅なショートカットができる。注意書きが見当たらないのをいいことに、進んでみる。
水再生センターと東京湾マリーナとはフェンスで隔てられているが、時々マリーナに係留されたクルーザーが良く見える場所がある。対岸には新砂一丁目のビルやゴルフ練習場が遠望できる。
このあたりは砂町北運河の成れの果て。昨年まで九重橋まで続いていた運河(私有堀)が、物流センターの工事で埋め立てられて、新たに完成した真新しいコンクリートの護岸を望むことができる。
その奥には、九重橋のトラスが見える。
運河を渡る風を感じながらそのまま敷地内を歩いて、砂町水再生センターの北側の門から退出。
職場に戻る途中の「すき家」で、カレーをかきこんで、職場に戻ったときには、昼休みの60分間をわずかに超えていた。まあそのくらいは勘弁してよ 、である。
調査
出典 : 東京都地質調査業協会技術ノートvol.17(1994)
東京都下水道局にメール取材の結果、東京都下水道局総務部広報サービス課長から下記の回答を頂いた。迅速な対応に感謝。
平素より東京都下水道事業に御理解御協力をいただき誠にありがとうございます。
砂町水再生センターの煙突ですが、 下水を処理した後に発生する汚泥を焼却する際に使用しておりましたが、現在は休止中です。また、高さは149.7mになります。
今後とも東京都下水道事業への御理解御協力をお願いいたします。
なるほど。
・高さ149.7mとギリギリ150m未満となっているのは、航空法の航空障害灯設置義務との関連だろう。
・いまは休止中とのことだが、平成9年に運用開始した「東部スラッジプラント」にその役目を譲ったということなのだろう。東部スラッジプラント|東京都下水道局
http://www.to-gisi.com/magazine/53/doc01.pdf
なお、施設は事前に申し込めば見学が可能だ。いつか見学して東京都の下水道事業の理解を深めたい。